インド国内に日本酒をもっと広めたい!日本酒を知ってもらうためにレストランができることとは

こんにちは、本多康二郎です。

先日、インドの皆さんに日本の食文化を知ってもらう機会がありました。

10月10日・11日の2日にわたり、Kuurakuにてレストランセミナー商談会を開催させていただきました。これは国税庁よりご指名いただいた『Japanese liquor import coordinator in India』の一環です。

インドでは日本酒を飲んだことがない人が多い

日本酒を知ってもらうことが目的ですので、インドでビジネスをされている利き酒師を招いて、フードペアリングを楽しみながら講義をお願いしました。レストランの関係者様、日本酒のリテールをされている方、モールの関係者様などたくさんの方にご参加いただきました。

参加者の3分の2は「日本酒を飲んだことがない」ということで、どんな反応があるのかを楽しみにしていました。そもそもインドでは日本酒は高級なもの。それほど市場に出回っていないからです。

現地の皆さんに大変好評をいただき、バンガロール、ムンバイともに参加者の約90%が「非常に満足」と評価してくださいました。 

具体的には

「日本酒と料理のペアリングの素晴らしさを始め、日本酒の味と知識を深められた」

「スタッフ全員のホスピタリティが最高だった」

といった嬉しいご感想を多数いただきました。

このイベントで手応えを感じたので、今後はお店主導で開催してみたいと考えています。

インドへの日本酒の年間輸出額は?

今回、日本からインドへの日本酒の年間輸出額を国税庁の方に質問させていただく機会があったんですが、驚きの数字でした。

一体どのくらいだと思いますか? 

正解は4,600万円。

これはインド全土、去年1年間の数字です。私は「え、たったそれだけなの!?」と驚きました。意外と少ないと思いませんか?

あまり知られていないのですが、インドへの日本産酒類の輸出額は次のようになっています。

■インドへの日本産酒類の輸出額(単位:百万円)

ウイスキージン・ウォッカ清酒合計
2022年42013146612
2023年(1〜6月)25016115545
(出所:財務省貿易統計)

2021年は中国に対する日本酒の年間輸出額が102億円※と言われているので、現在日本酒の輸出額はかなり少ないですよね。

(※ 出所:財務省貿易統計)

輸出量が少ないのには、ロジカルな理由が主に2つあります。

1、日本酒のラベル登録のルールが複雑

まず、日本酒のラベル登録のルールが複雑かつ煩雑で、州ごとに登録をしなければならない点が挙げられます。

最近では、日本酒に含まれる成分にインドに存在しない成分が含まれているという理由で、インドの衛生管理局(FSAAI)から輸入を一旦止められた期間がありました。

日本からの粘り強い交渉により、今ではLaboテストを行えばクリアできるようになりました。今後はLaboテストも不要になるよう、大使館の担当官が交渉を進めています。

2、安価なコールドサプライチェーンの不足

もう一つは、インド全体に冷凍冷蔵車や倉庫といったコールドサプライチェーンが、まだ確立されていない点です。

現時点では数が非常に少ないため、商品の流通コストが高くなっているのです。

この二つの課題を一つ一つ紐解きながら、インド側関係者とお互いにメリットが出る、且つきちんとしたPR戦略を立てて進めていけば、輸出額は着実に増えて行くでしょう。

オーストラリアやイタリア、アメリカなどへの年間輸出額も教えていただいたので、これらの数字から様々な仮説を立て、年間輸出額をどれだけ増やしていけるかを考えてみました。目標金額は5年で50倍の約23億円。これは決して不可能な数字ではないと思っています。

インドではどんな日本酒が好まれる?

インドに住む男性はウイスキーやジン、ラムなど比較的度数の高いもの、女性はワインやカクテルを好んで飲んでいる傾向があります。そして今、インドでは日本酒のブームが来ています。今回開催したイベントにも

「日本酒が流行り始めているから」

「流行に乗り遅れないように、知識を深めたいから」

という理由で参加いただいた方がいらしたほどです。

私自身も、インド国内で日本酒が流行し始めていることは実感しています。例えば店舗で接客をしていると、お客様から

「違う銘柄はないの?」

と聞かれることが増えています。

また、チェンナイでは日本酒がまだ1本もないのですが、そこで運営しているレストランでも

「このお店に日本酒はないの?」

と聞かれます。こういうケースが増えてくると、やはり日本酒の需要があるんだなと感じますね。

日本酒は注目を集めている

イベントでは、なぜ日本酒の味が異なるのかについてお話をしました。

水とお米のことに始まり、全国津々浦々に酒蔵があること。精米歩合と原材料の違いで酒蔵ごとに特徴のある日本酒ができること。薫酒や爽酒といった種類についてもお伝えしました。皆さんがとても真剣に聞いてくださっていたのが印象に残っています。

具体的な銘柄としては『南部美人』『花木桜』が特に好評で、それぞれの独特の風味に魅力されたという声を複数いただきました。

もちろん、日本酒をよく知っている方にもご参加いただきました。そういう方からは

「たとえばビリヤニだったらどんな日本酒が合うか?」

といったような具体的な質問が多かったですね。

こうした質問を受け、今後はワインを選ぶように「今日はラムだから、この日本酒」「お魚に合うのは、この日本酒」といった感じで選んでもらえるようにしたいと思いました。今後は慣れ親しんだインドの料理に合わせて、日本酒を提案する機会を作っていきたいと考えています。

その他にも、インドで人気になりそうなお酒を挙げてみます。

1.焼酎:インドの気候やペアリングフードを考えると、受け入れられやすい。

2.焼酎やウイスキー:流通の際にコールドチェーンを必要としない、という点で伸びしろがある。味の濃いインド料理に合う。

3.泡盛:沖縄は南インドの気候と近く、泡盛のアルコール度数もインドのお酒に近い。味の濃いインド料理に合う。

「これからインドで飲食店を展開したい」と考えている方には、インドの方に日本酒をどうやって知ってもらうかがポイントになるかもしれませんね。

今後もこういったイベントを開催することで、日本酒のPRの普及を通じて日本とインドの文化交流を加速させていきます。

インドで日本酒を広めていきたいという方がいらっしゃいましたら、ぜひお話を聞かせてください。

その他にもインドビジネスに関するご相談やご質問がありましたら、お気軽にご連絡ください。